大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和27年(オ)505号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔要旨〕会社がある者を同会社の出張所長に任命したという事実を審理確定しただけで、直ちに、会社は右の者と取引をなす第三者に対し同人に会社の営業に属する行為の代理権を与えた旨を表示したものに外ならない、として民法第一〇九条を適用した判決は、審理不尽の違法があるものである。

〔説明〕本件は判例集には収録されなかつたが、民法一〇九条の解釈に関し実務上参考となるものを含み、かたがた破棄判決でもあるので、ここに紹介することとした。左に判決原文を引こう。

「本件当事者間における昆布の売買取引は、原審において上告人の否認するところであつて、上告人は、右は松浦栄蔵が上告人会社の東北出張所の名義を冒用してしたものであると抗争し、原判決も、右取引は松浦栄蔵が上告人会社の東北出張所長として上告人会社の代理人たる資格においてしたものではあるが、上告人会社が同人に対し上告人会社の営業に属する行為につき包括的代理権を与えたことも、本件取引について特に代理権を与えたことも認められないとしている。すなわち、本件取引は松浦栄蔵の無権代理行為であることをみとめているのである。ただ原判決は、すすんで上告人会社はその営業に属する冷凍魚類販売のため、秋田市に東北出張所なる名称の下に営業所を設置したこと、及び昭和二一年一〇月頃松浦栄蔵を同出張所長に任命した事実を認定し、『右認定事実によると、控訴会社(上告人会社)は、その目的たる営業に関し右松浦栄蔵に対し自己の商号を使用することとを許したものというべく、これによつて同訴外人と取引をなす第三者に対して、同訴外人が控訴会社の目的たる営業に属する行為につき控訴会社を代理すべき権限を有することを表示したものに外ならないから』との理由により、上告人会社は右松浦栄蔵が上告人会社の代理人としてした上告人会社の営業の範囲に属する本件取引について、その責に任じなければならない旨の判断をしたのである。しかしながら、以上のごとき表見代理による上告人会社の責任については、被上告人の原審において何ら主張しないところであるのみならず、仮りに上告人会社が松浦栄蔵に対し同出張所長に任命した事実がありとしても(しかも上告人会社は同人に対し、営業に属する行為についての代理権を与えていないことは、前示のとおりである)、任命は、ただ会社と松浦栄蔵との間の行為に過ぎないのであつて、これが果して、いかなる第三者に対する表示行為によつて、原判決のいうごとく、ひろく同人と取引をなす第三者に対して同人が上告人会社の目的たる営業に属する行為につき上告人会社を代理すべき権限を有することを表示したこととなるかは、原判決の毫も説示しないとろこであり、もともとかかる争点は、原審において当事者の主張しないところに基くものであるが故に、原審における当事者のこれらの点に対する主張、立証いずれも不十分であることは、争えないところである。要するに、右の争点に関する原審の審理は、未だ尽きざるものありというの外なく、論旨は理由あり、原判決はこの点において破棄を免れないものである。

(青山調査官)

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